「空間音響技術」とは、その空間の中に存在しているという感覚を抱くような、究極的な音場再現・音場創出を目指す技術です。
従来の、スピーカーで再生されている音を聴くという感覚ではなく、あたかもその空間の中に存在しているという感覚を抱くような音場再現を可能にするのが空間音響技術です。ビクターのもつ『原音探究』の思想の元、映像と音の記録再生において音場の忠実な再現を目指しています。
オーディオの音場再生技術はモノラルからステレオ、そしてマルチチャンネルへと進化してきました。これは点から線、更に面へと拡がってきたと言って良いでしょう。しかし、現状のマルチチャンネルでも距離感や上下の方向感は十分に再生出来ません。そこで、聴いている人があたかもその空間に存在しているという感覚を抱くような空間音場再現を目指して、当社がこれまで培ってきたバイフォニック技術をベースに技術開発を行ってきたものが空間音響技術です
下記項目で説明している「バイフォニック技術 」「バイフォニック3Dサウンド 」に掲載されているFlashによるデモをお聞きになる場合、パソコンにスピーカーを接続して、右記のようにスピーカー正面、中央にてお聞きください。
※パソコン内蔵のスピーカーの場合、音場感が損なわれる場合があります。
2つのスピーカの中央でこのデモンストレーション(ナレーション)をお聴き下さい。
ナレーションがスピーカーを超えて移動したり耳元に近づいたりするように聴こえたでしょうか? これが「バイフォニック技術」の効果です。
※デモをご覧いただくには、Flash6以上が必要です。
音の臨場感を出すためには、人間の左右の耳に入る音の方向や距離感の差を再現する事が必要です。 そのために、人間の耳を想定した左右別々のマイクで集音し、それぞれを左右のヘッドホンで再生する方法を、バイノーラル方式といいます。そのバイノーラル方式で録音した音を、特別な再生システムを必要とせず、スピーカー再生できるようにした信号処理技術が、ビクターの開発した「バイフォニック技術」です。 これが、ビクターの空間音響技術のベースになっています。
それでは、バイフォニック技術の効果を再度体験していただくために、このデモンストレーションをお聴き下さい。 ハチが頭の周りを飛び回りましたか?
※デモをご覧いただくには、Flash6以上が必要です。
「バイフォニック技術」はデジタルビデオカメラにも活用できます。「デジタルビデオカメラで撮った映像を、臨場感豊かに楽しみたい」「音も大切な思い出だから、撮影現場で聞いたままの音を残したい」という要望にこたえるため、「バイフォニック技術」の延長として開発した音声記録再生技術が「バイフォニック3Dサウンド」です。
デジタルビデオカメラは、小型化が進んだため左右のマイクを離して設置できず、ステレオ感の再現が困難になっています。そこで、両耳に装着した2本のマイクで立体感を感じられる録音(バイノーラル録音)をした音声に独自のデジタル信号処理を施し、音の方向や距離感を再現することにより、撮影現場にいるような“音の臨場感”を楽しんでいただけるようにしました。
この「バイフォニック3Dサウンド」を実現するため、耳元で受けた音響情報を忠実に集音するバイノーラルマイクロホンの技術と、デジタル信号処理による高臨場再生信号処理技術であるトランスオーラル処理が使われています。
バイノーラルマイクロホンは、耳に小型のマイクロホンを装着して録音することにより、両耳で受けた音響情報をそのまま記録する技術です。ビクターでは、このバイノーラル録音に最適な小型高性能ヘッドホンタイプのマイクロホンを開発しています。
バイノーラル録音された音声は、通常、ヘッドホンによる試聴で高臨場感が得られますが、それを2本のスピーカーで実現させた技術がトランスオーラル処理です。当社独自の信号処理と高性能DSPによって、逆相感や個人差の少ない音像定位を実現します。
※「バイフォニック技術」は、弊社のビデオカメラの一部商品に登載されました
従来のDV音声とバイフォニック3Dサウンドを聞き比べてみてください。
蒸気機関車が通過しますが、従来のDV音声では、ほとんど前方だけから聴こえます。
※デモをご覧いただくには、Flash6以上が必要です。
前方に置いた2つのスピーカーだけで映画等のマルチチャンネル音声を楽しむための技術が、バーチャルサラウンド技術です。
2本のスピーカーでサラウンドを実現するこのバーチャルサラウンドは、スピーカーの配線や設置・設定が簡単で非常に便利なのですが、3つの課題がありました。
(1)映画再生時、せりふが不明瞭
(2)音楽再生時、音質変化が大きい
(3)サラウンド効果の良好な視聴エリアが狭い
この課題を解決するために開発されたのが4ch フロントサラウンド「√4(ルート・フォー)」です。基本的な信号処理アルゴリズムは1995年に他社に先駆けて開発したバーチャルサラウンド技術「3D-PHONIC」を踏襲しながら、センタースピーカーを2本追加し、4本のスピーカーを使うことで、バーチャルサラウンドの課題を解決しました。
5.1chの音声フォーマットの信号は、デコーダ部へ入力され、それぞれの5.1ch信号に復調されます。 このデコードされた5.1ch信号(Lch:前方左チャンネル、Rch:前方右チャンネル、Cch:センターチャンネル、SLch:後方左チャンネル、SRch:後方右チャンネル、LFEch:サブウーハーチャンネル)に信号処理を施します。 Lch、Rch信号はそのまま通過し、L、Rスピーカーに出力されます。Cch信号は2本のセンタースピーカーで再生するために、分配して出力されます。SLch、SRch信号は、「√4(ルート・フォー)」技術により、リスナーの左右後方に音像定位するように信号処理されます。
映画コンテンツの再生で重要なセリフの部分が多く含まれるセンターチャンネルを用意しているので、センターチャンネルスピーカーが用意されていない従来のバーチャルサラウンドと比較し、セリフの定位感・明瞭度が改善されました。そして、音楽コンテンツの再生においては、L、RチャンネルにSL、SRチャンネルを加算することで生じる音質劣化を防ぐとともに、自然なサラウンド感を実現しています。この「√4」技術によって、日本のような住宅環境においても、気軽に良い音でマルチチャンネルの映画・音楽を楽しめるシステムが実現できたのです。