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技術情報

技術者インタビュー

技術者インタビュー〜高画質エンジン「倍速GENESSA」編〜
ディスプレイ開発部 リーダー 長谷川 順一

ビクター・JVC独自の高画質映像処理システム「GENESSA(ジェネッサ)」が「GENESSA PREMIUM(ジェネッサプレミアム)」として、さらに進化しました。

最先端のデジタル高画質映像技術を駆使し、「GENESSA」の画像処理能力をさらに向上させた「GENESSA PREMIUM」。今回はこの「GENESSA PREMIUM」の開発に携わったディスプレイ開発部 長谷川 順一にインタビューしました。
(このインタビューは2008年2月に行ったものです)

※「GENESSA PREMIUM」の技術は、2009年6月15日に発表された液晶ディスプレイ『Xiview』LT-42WX70において、動画のみならず、高い忠実度が必要とされる静止画においてもハイレベルな映像表現を可能にしています。


●これまでの「GENESSA」について簡単に説明してもらえますか?

「GENESSA」はテレビの高画質化をはかる映像処理エンジンとして2004年に誕生しました。
従来のテレビは、モデルごとにエキスパートエンジニアが固定的な映像調整を行い画質を決めるというのが一般的でしたが、これでは、すべての映像シーンに対して最適な処理を行うことができないという問題がありました。
これに対し我々は、LSIに内蔵した映像処理専用CPUにより、入力映像1枚1枚について、その特長や品質に合わせた最適な調整を行うことで、従来にない高画質化を達成するというアイデアのもと「GENESSA」を開発しました。
その後、「GENESSA」はフルHDパネルへの対応や、当社が世界に先駆けて開発した「倍速120コマ」表示技術への対応に合わせて世代を重ねるとともに、高性能化を実現してきました。
今回開発した「GENESSA PREMIUM」では、「GENESSA」のすべての要素を抜本的に見直し、画像処理のビット精度を大幅に拡張するとともに、最新のデジタル画像処理アルゴリズムを数多く搭載することで、従来にない高画質化を実現しています。


●「GENESSA PREMIUM」はどのような考えから開発したのですか?

「GENESSA PREMIUM」にはいくつかの開発コンセプトがありますが、まず一つは、デジタル処理による映像の劣化を極限までなくすということです。
テレビに表示される映像の品質は、信号が入力されてからパネルに表示されるまでの回路の一番細いところ、つまりデジタルで言えばビット数の一番小さいところで制限されてしまいます。ですから、映像の品質ということでは、一般によく言われている画像エンジン内の「最大ビット数」というのは、実はあまり意味がありません。
「GENESSA PREMIUM」は、ビット数の最低ラインをRGB各12bit(合計36bit)に引き上げることで、最新の「36bit Deep Color」信号も劣化なく高画質処理することができます。
あわせて、これから市場に出てくると思われる最新の表示パネルや映像フォーマットにいち早く対応し、その能力をフルに引き出すことも開発目標の一つでした。


●「GENESSA PREMIUM」の特徴は何ですか?

「GENESSA PREMIUM」には、高画質化のための様々な世界初の機能を搭載していますが、大きな特徴として3つ挙げられます。
まず一つ目は、コンテンツ自体の品質の壁を越えて画質改善を行う「 Real Bit Driver(リアル ビット ドライバー)」です。
テレビの映像処理のビット数を大きくしても、デジタル放送やDVDなど現在の映像コンテンツは8bitのため、表示品質はそこで制限されてしまうという問題がありました。
「 Real Bit Driver」は高度な信号生成技術により、RGB各8bit精度(合計24bit)のデジタル映像信号から、12 bit(合計36bit)精度の映像を創り出すことで、コンテンツの持つ色の表現力を約1,678万色から約687億色へと飛躍的に高めています。そして、従来にない滑らかな階調(グラデーション)表現を可能にしています。
二つ目は、動きのある映像に対する3次元ノイズリダクション処理を可能にした「 i-ClearMotion NR(アイ クリアモーション ノイズリダクション)」です。これはビクターの倍速120コマ技術をノイズリダクションに応用したもので、動画ボヤケの発生を防ぎつつ、高いノイズ除去効果を得ることができる高性能なNR技術です。
三つ目の「 Real Color Creation(リアルカラークリエーション)」は、人間が着目する映像に焦点を当て、その際に見えてくるディテール部分の色彩や質感の違いを忠実に再現することを目的に開発しました。人は、注目した物体の色彩に対しては視覚感度、つまり見て感じる力が高まるという性質があるんですね。この技術は、そうした特性をアルゴリズム化することで、見る人の気持ちに応えるようなリアリティのある映像を再現しています。


●ビクターのテレビが目指す「記憶を呼び覚ます映像」とはどんなものですか?

実は、技術的に高度であるということだけでは、私たちが目指す「見る人の記憶を呼び覚ます」映像、「感動できる」映像を創り上げることはできません。確かに「GENESSA PREMIUM」には、高画質化のためのさまざまな技術が搭載されていますが、同時にその優れた技術を使って、”人が見たい“と感じる映像を作るための、「画づくり」への思いを詰め込む必要があります。
「GENESSA」の開発過程では、LSI開発と同時に、「画づくり」の専門家が、本当の色、本当の質感を求めて画質の設計を行っています。画質設計では、例えば映画の中で、登場人物の心情が変化したときの微妙な顔色の変化や背景との対比といった、映像の作り手側が意図した表現を理解することが必要です。そして、それを見る人に届けるために、「画質設計者」は「GENESSA」の能力を最大限に引き出そうと、日々「回路設計者」と議論を重ねています。
今回の開発では、こうした「画づくり」に対する強い思いと、最新の回路技術が協調することで究極の表現にまた一歩近づくことができたと思います。


●苦労した点はありますか?

技術というのは、常に一方を追求するともう一方が犠牲になるというようなトレードオフの関係をどう克服するかという問題に相対しています。
例えば、ノイズリダクションで言えば、動きボヤケを犠牲にしてノイズ除去効果を高めることは容易にできます。 しかしそれでは、開発テーマのひとつに掲げていた、高品位映像のためにノイズを取り除くことと、ボヤケを無くして動画の鮮鋭感を高めることを両立させるという、「GENESSA PREMIUM」の目的を果たすことはできません。
そこで「 i-ClearMotion NR(アイ クリアモーション ノイズリダクション)」では、映像の動きを予測してフレーム間の同じ映像同士を演算するという「動き補償型3次元ノイズリダクション」技術を開発することにより、高いノイズ除去効果と動きボヤケの抑圧を両立させました。
同じことが「Real Bit Driver(リアルビットドライバー)」の開発についてもいえます。
滑らかな階調を生み出すことと、ディテールを落とさずに細部まで鮮やかに描き出すことは、本来はトレードオフの関係にありますからね。

「GENESSA PREMIUM」のすべてにわたって、このような相反する問題を解決することが、開発の大きなウエイトを占めていました。


●最後に一言。

ビクターには、高画質の追求に対する特別な思いがあります。それは、当社が開発する独自の技術と、作り手の意図や思いを見る人に届けたいという、「画づくり」の情熱によって実現する映像とに表れていると感じています。
そうした開発への姿勢を通じて、今後も数多くのお客様にとって、豊かな生活を提供できる、価値ある製品作りを目指していきたいと考えています。
「GENESSA」も、独自の高画質と使い勝手を備えたテレビを実現する手段として、将来にわたってさらに進化させていきます。


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