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デジタルハイビジョンムービーの高画質を生かし切るためには、簡単に使えるマニュアル機能についても知っておく必要があります。
マニュアル機能を完全に身に付け、必要な時に使いこなせるようになれば、もうあなたは中級者以上と言えるでしょう。ワンランク上のハイビジョンクリエーターを目指すなら、挑戦してみる価値は充分にあります。
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HD1に装備されたマニュアル操作ボタン群1
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HD1に装備されたマニュアル操作ボタン群2
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シャッタースピードの基本は1/60秒と1/100秒
ビデオカメラのシャッタースピードは通常1/60秒ですが、デジタルハイビジョンムービー・HD1では、1/1000秒までのシャッタースピードをマニュアルで指定することができます。
では、どんな場合にシャッタースピードを固定したり、変えたりすると効果的なのかを考えてみましょう。
東日本で蛍光灯下の撮影をする場合には、フリッカー(画面のちらつき)を消すために、1/100秒を選択すると有効です。これは、交流電流が50サイクルで供給され、蛍光灯が1/50秒ごとに細かくちらついているためです。交流のサイクルとビデオカメラのシャッタースピードを同期させれば、フリッカーは消えます。西日本では60サイクルなので、1/60秒のままで大丈夫です。
出来事を実際の流れに沿って撮影していくドキュメンタリースタイルの場合は、マニュアル撮影モードでシャッタースピードを1/60秒か1/100秒に固定して撮影にのぞみましょう。通常のテレビ番組が、ほとんど1/60秒か1/100秒で撮影されているのは、それが動画として人間の目に最も自然に見えるシャッタースピードだからです。1/60秒と1/100秒の違いは人間の目には、ほとんど認識できませんので、この二つがひとつの作品の中に混在しても違和感はありません。
ドキュメンタリースタイルと言っても、特に難しいテーマの撮影を指しているわけではありません。身近な出来事を撮影していく場合は、すべてこのジャンルに含まれます。「シャッタースピードの基本は1/60秒と1/100秒」と覚えておいて間違いありません。
1/60秒や1/100秒のシャッタースピードで、アイリスが絞り切れない場合や、アイリスを開けて被写界深度を浅くしたい場合には、NDフィルターを使うと有効です(次ページ参照)。
スポーツなどの撮影で、動きの速い被写体に対して一コマ一コマを鮮明に写したい場合は、プログラムAEの「スポーツ」を選択するか、マニュアルで1/500秒、1/1000秒といったシャッタースピードを選択します。少しパラパラした感じの動きをする独特の映像を得ることができます。ドキュメンタリータッチには似合いませんが、イメージ映像的には使い勝手の良い動画です。
また、撮影時に高速シャッターを使っておけば、後で動画から静止画を抜き出す場合にも、映像が流れていない鮮明な画像を得ることができます。
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1/60秒で撮った噴水
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1/1000秒で撮った噴水
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1/60秒で撮った電車
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1/1000秒で撮った電車
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シャッタースピードと被写界深度
高速シャッターを使って、被写界深度を調整することもできます。光量が充分にある状態では、絞り(アイリス)が絞られ過ぎて、手前も奥も全体にピントが合ってしまいます。一般には撮影しやすい状態(パンフォーカスと呼ぶ)ですが、主たる被写体に意識を集中させたい場合には、かえって被写界深度を浅くしたいこともあります。この時には、シャッタースピードを上げていけば、絞りが開き、奥や手前を適当にぼかすことが出来ます。
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パンフォーカスの状態
(シャッタースピード=1/60秒)
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奥がボケた状態
(シャッタースピード=1/500秒)
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