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世界初のブラウン管から続く道
デジタルハイビジョンムービーHD1開発秘話
プロフェッサーMが語る「私的ハイビジョン論」

Column3

 プロフェッサーMが語る「私的ハイビジョン論」
プロの世界で進むハイビジョン化への動きとHD1の登場

NHKがハイビジョンの実験放送を開始したのが1989年。2000年におけるBSデジタル放送の開始を経て、放送業界は本格的なハイビジョン時代を迎えようとしています。

NHKでは、地上波だけで放送する番組を含めて、ほとんどのスタジオ番組やドラマがハイビジョンで収録され、ドキュメンタリー系の番組もハイビジョン撮影のものが増えています。民放でも、スタジオ番組はハイビジョン撮影のものが増えており、収録する側の状況は、この間で一気にハイビジョン化が進んでいるというのが実情です。

例えば、NHKの地上波のニュースを見てみると、80%位がハイビジョンで撮影された映像で、時々「荒れた映像だな」と感じるのが、従来のカメラで撮影されたものです。私たちは通常のテレビで見ていても、ハイビジョンの画質を感じ取っているのです。もちろん、ハイビジョン本来の高画質ではありませんが…

筆者(プロフェッサーM)が初めてハイビジョンによる番組制作に携わったのは1999年のことで、NHKハイビジョン放送でオンエアされたギリシャの紀行番組でした(今も時々再放送されています)。

パルテノン神殿
パルテノン神殿(APSカメラによる撮影)
ギリシャでハイビジョンの魅力を満喫

それまで、「ハイビジョンを触れるのはNHKのスタッフだけ」という印象があったのですが、この頃から、NHKが全番組のハイビジョン化に乗り出し、外部のスタッフもハイビジョンを使った番組作りができるようになったのです。NHKの機材室で、初めてハイビジョンカメラを見た時、大きさが従来のカメラとほとんど同じになっていたので、「これならドキュメンタリーにも使える!」と実感したのを覚えています。

取材で訪れたギリシャには、まさにハイビジョン向きの被写体が溢れていました。青い空に青い海、そして、白い小さな家… 30分番組5本を一ヶ月で撮るというハードスケジュールでしたが、それはハイビジョンの魅力を満喫する一ヶ月でもありました。

サントリーニ島
サントリーニ島(APSカメラによる撮影)
手持ちで撮れてこそ主役になれる

美しい風景を撮る時には三脚を使用し、一方では、ギリシャの人々の暮らしをドキュメンタリー調で追いかけるシーンもたくさんありましたので、これは手持ちのカメラワークを主体にして撮影しました。

「ハイビジョンは基本的に三脚で」という固定観念がNHK内にもあったそうですが、私の番組を含めて、この時期に制作された番組が手持ちのカメラワークでも十分にハイビジョンの魅力を生かせることを証明したようです。それは、逆に言えば、テレビ番組の撮影現場でハイビジョンが主役になるための条件でした。ドキュメンタリーや報道の現場では、手持ちで撮れるカメラでなければ、決して主役にはなれないからです。

ギリシャ中部・カラブリタの祭り
ギリシャ中部・カラブリタの祭り(APSカメラによる撮影)
デジタルハイビジョンムービー・HD1登場はプロにも大きな衝撃を与えた

個人的には、その後、従来の規格(NTSC)とハイビジョンの番組の両方に携わり、まさに「放送界のハイビジョンへの過渡期」の真っ只中で仕事をしているというのが現状です。

そこへ舞い込んできたのが、「日本ビクターからアマチュア用のハイビジョンカメラが出る」という知らせでした。「いつかは出るだろうが、まだまだ…」と思っていたので、正直言って驚かされました。「ハイビジョン映像は放送局だけが供給する」という時代が、一気に、誰もが「ハイビジョンで撮れる」そして、「ハイビジョンで創れる」時代が訪れたのです。これは、「テレビとビデオの歴史70年」の中でも、画期的な出来事の一つです。

世界初のデジタルハイビジョンムービー・HD1には、業務用や放送用のサブカメラとしての期待も高まっており、放送のプロたちも熱い視線を注いでいるというのが事実です。

ともあれ、HD1の登場によって、ハイビジョンでの映像作りが新しい段階に入ったことは間違いありません。プロもアマチュアも含めた多くのクリエーターたちが、『ハイビジョンの映像文化』を築き上げる。そんな時代がやって来ました。
プロフェッサーM
プロフェッサーM
本名:増田信示  テレビ番組、企業映像、販売用ビデオなど幅広いカテゴリーの映像作りに携わる映像ディレクター。 雑誌でのアマチュア向け映像製作テクニック論の執筆も多い。

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