インタビュー作品

「誰が観てもわかりやすく楽しい、等身大の作品づくりを心がけました」

作品名『だるまさんがころんだ』
新垣 善広さん(沖縄県・41才) 作品時間:10分13秒
撮影時間:約5日 編集時間:約2日 編集ソフト:Final Cut Pro

作品概要
70年代、沖縄。過ぎていく夏を惜しむように子供達は遊ぶ。大人達が立入りを禁じている裏山に行った。彼らはそこで恐怖の体験をする。第二次世界大戦で日本で唯一、地上戦のあった小さな島の哀しみがそこにあった。

●ビデオによる作品づくりは、いつごろから始めたのですか?
高校時代です。カメラとビデオデッキが分かれた重い機材を電気屋さんから5千円で借りて撮ったのが最初です。

●今回の作品を制作するきっかけは何だったのでしょうか?
以前から「新垣映画組合」というサークルで、自主制作映画を作ってきました。1時間とか1時間30分といった長編ものを主に作って、500円ぐらいの入場料で公開していたんです。そんな中、2〜3日で撮れて、パッと上映できる作品を作ろうと取り組んだのがこの作品です。

●なぜ、このテーマにしたのでしょうか?
沖縄というと、リゾート地や地上戦のあった場所というイメージがあると思うんですが、私はこの地で暮らす自分たちの等身大の作品をと考えました。反戦を強く訴えるよりも、住んでいる子どもたちが遊ぶ日常をとらえながら、そこに戦争があった事実を表現したかったんです。

●どんな作品にしようと思っていたんですか?
ハリウッド映画のように、楽しめる娯楽性があり、誰が観てもわかりやすいことを心がけました。例えば、「スタンドバイミー」のようなドラマ性、そしてホラー映画のドキドキ感ですね。

夏休みの実験やったか? 夏休みの友だろ! どこが友だよ… だるまさんがころんだ(?) 何かいるんじゃないか。何かいる!

●その狙いを、わかりやすく言うと何でしょう?
「楽しむ力で問題を理解する」でしょうか。例えば、沖縄の自然の中で遊ぶ子どもたちのシーンに、この地で育った多くの人は共感できると思います。そんなシーンに突然、幽霊が出てくる。そして兵士。この兵士というのも、沖縄の歴史をわかりやすく訴えかけます。地元民が知るこの2つによって、戦争があった事実をわかりやすく伝えていると思います。

●制作する上で工夫したところはどんなところでしょうか?
ポイントは子どもたちです。ナチュラルな姿、そしてセリフでないと日常にならないし、等身大から離れてしまいます。だから、沖縄の方言のままでセリフをつくり、子ども達には良く理解してもらって、普段の会話による普段の振る舞いをしてもらいました。もちろん、理解できない言葉もあるでしょう。でも、そのひと言がわからなくても、楽しめる作品なら内容は伝わるものだと思います。

●ビデオ作品を作って楽しいのは、どんなところですか?
実は、私たちが作った作品は、劇場で公開してもらっているんです。それを観た人が、ラジオの番組に「あの映画は誰が作ったか知りませんか」と問い合わせ、再上映のアンコールをしてくれました。そんなふうに、みんなに評価されたときは嬉しいですね。

●今後は、どんな作品を作りたいと考えていますか
観光や戦争だけじゃない沖縄を撮っていきたいと思います。地元の人間しかわからない、地元だからわかる沖縄。それをテーマにしていきたいと思います。

ウワー! アーッ! お盆は死んだ人が来てるの? 来てるはずよ、ごちそう食べにね  


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