インタビュー作品

「人と深く交わらない“都会”の微妙な空気感を描きました」

作品名『Apartment!』
青木 純さん(東京都・22才) 作品時間:5分20秒
制作期間:約3週間 編集ソフト:Premiere

作品概要
アパートメントに引っ越してきたひとりの青年。しかし、住人達は勝手気ままに毎日の生活を過ごしている。規則的な動きの中にも個々の生活があり、それぞれが交錯したり、しなかったり…。青年は少しずつ、そこの住人になじんでいく。

●作品づくりのきっかけは何だったのでしょうか?
大学でデザインを専攻しているんですが、授業の課題で「都市の生活」というテーマが出されたんです。それで、都会のアパートを題材に、ゲームチックに作ってみようと思いました。

●アパートでのエピソードは、ご自身の体験に基づいたものですか?
そうですね。自分もアパートに下宿しているので、その中で体験したことなどを描いて、それを俯瞰(ふかん)して楽しめればいいかなと。昼も夜もない生活をしている人がいたり。もちろん、極端にマンガ的に表現していますが。

●作品を通じて描きたかったことは何でしょうか?
同じ建物に暮らしているが、交わらない。隣に住んでいる人に関知しない。すれ違えば会釈はするけど、それ以上の付き合いはない。そうした「都会」の微妙な空気をリアルに伝えられたらいいな、と思いました。

●アニメーションの作り方を教えてください
パソコンで作る過程がほとんどですが、原画は紙にマジックで描きました。それをスキャナーでパソコンに取り込んで、色をつけて、専用ソフトを使ってアニメにしていきます。といっても、例えば1秒間に12枚の絵をめくると設定した場合、絵は12枚必要なんです。ですから今回、背景のアパートの絵は1枚で済みましたが、人物は動きに合わせて全部手描き。300〜400枚は描いたと思います。

とあるアパートに一人の青年が引っ越してくる   都会に暮らす様々な住人たち

●そのほかに、作品づくりで苦労した点はありますか?
登場する6人の行動のつじつまを合わせるのに苦労しました。1人ずつそれぞれスケジュールを作り、それをチャート図にして、このタイミングで誰と誰がすれ違う、などということを設定するんです。登場人物が6人もいると、矛盾がないようにするのは結構大変でした。

●作品について周囲の反応はいかがでしたか?
「結局、オチは何なの?」という反応もありました。この作品は、エピソードを積み重ねて見せていますが、本当はヤマもオチもつけたかったな、という思いはあります。「都会」の雰囲気は出せたと思うんですが、筋書きでもエンターテインメント性を持たせられたらもっとよかったですね。

●次回作の課題はその辺りになりますか?
これまでに作ったアニメ作品はどれも1〜2分から3分程度。労力の面からいってもこれくらいが限界だし、逆にこれ以上長くしても面白くないんです。今回は、小ネタを“一発ギャグ”的に見せるやり方を5分も展開すると長いかな、という反省も。今後はストーリー性のあるものを作っていきたいと思っています。

  いつしか青年もなじんでいく  


TOP back   next

(c)Copyright 2005 VICTOR COMPANY OF JAPAN, LIMITED All Rights Reserved.