
フルレンジのように一体感のある音を求めて、優れた高域特性を持ちながら、ウーハーとしても適性を有す素材として、ビクターはマグネシウムに着目しました。
アルミ以上に軽量で内部損失が大きいマグネシウムは、オブリコーンのよさを最大限に引き出し、「ひずみ感」「付帯音」を劇的に低減。ツィーターとウーハーに同一素材を採用することで、全帯域に渡って解け合うような音を実現しました。
反応の速いマグネシウムオブリコーンの可能性をさらに引き出すために、SX-M3は磁気ギャップの対称性を高めた磁気回路や、追随性のよいダンパー形状などで、より高いリニアリティを得ることに成功しました。さらにアルミショートリングと銅キャップを採用したT型ポールピースで、電流ひずみを大幅に低減。微小な音も正確に再現し、ひずみ感の少ない自然な音楽性を引き出すことのできるウーハーユニットに仕上げました。
ドームの頂点を中心からずらすことで素材の共振を分散させる、ビクター独自のオブリドーム振動板。マグネシウム素材のよさをさらに活かすために、振動板とボイスコイルボビンを一体化し、メカニカルロスなく駆動することを可能にしました。
これにより微小振幅のリニアリティを大幅に高め、艶やかな高域の味わいを保ちながら、ベールをはぎ取ったように澄み切った自然な高域を実現しています。
音源の振動を制御するというテーマのもと、SX-M3はウーハーユニットを背面からも固定するまったく新しい構造を採用。
これにより駆動点を安定させるとともに、音源に影響を与える振動を大幅に低減しました。
さらにキャビネット裏面には角度を持たせ、定在波も効果的に抑えています。また、側面は、MDF材をチェリー突き板でサンドイッチした板材と、チェリー無垢材の響棒による側面補強でキャビネットの響きをコントロール。スピーカーの存在を感じさせない、あたかもひとつひとつの楽器が見えるような自然な音場を再現します。
さらにキャビネット底面には、総重量4kgにもおよぶ鋳鉄製ベース&フットを採用。キャビネット自体の振動を低減することはもちろん、重心を低くすることで音の安定感を高め、より明瞭な音像の再現に貢献しています。