日本ビクター(株)は、独自開発のプロジェクター用高精細反射型デバイスD-ILA(Direct-Drive Image Light Amplifier)の新ラインアップとして、フルハイビジョンの17倍以上にあたる約3500万画素(水平8192×垂直4320)映像を表示できる、世界最高画素数※1の「1.75インチ 8K4K D-ILAデバイス」を新開発しました。これにより、1枚の表示デバイスで“スーパーハイビジョン”映像を実現できるようになり、現在国際標準化されている最高画素数の映像表示が可能となります。
※1…2008年5月2日現在、投射型表示デバイスとして。
※2…“スーパーハイビジョン”はNHKで研究開発中の将来のTV放送サービスで、1画面内の画素数が約3300万画素(水平7680×垂直4320)毎秒60フレーム順次走査映像と22.2マルチチャンネル音響から成ります。映像フォーマットはITU-R BT.1769,SMPTE 2036として国際標準となっています。“スーパーハイビジョン”規格画素数7680×4320での対角サイズは1.67インチとなります。
当社は2003年夏に786万画素(水平3840×垂直2048)の「初期4K2K D-ILAデバイス」を開発以来、様々な実験上映や検証を経て、2004年9月に「4K2K D-ILA デバイス(デバイスサイズ:1.7インチ、デバイスコントラスト5000:1)」および同デバイスを搭載した「4K2K D-LIAプロジェクター」を開発し、高精細・高臨場感映像技術を進化させてきました。さらに、2007年6月には画素ピッチ6.8μm、水平4096×垂直2400ドットの「世界最小1.27インチ4K2K D-ILAデバイス」を開発。2008年2月には、同デバイスを搭載した業務用D-ILAプロジェクター「DLA-SH4K」を商品化し、市場供給を開始しました。
そして今回、さらなる微細画素を実現するための新画素構造や新製造プロセスを開発し、世界初のリアルスーパーハイビジョン(8K4K)解像度を実現した「1.75 インチ8K4K D-ILAデバイス」の開発に成功しました。本デバイスは、従来の世界最小4Kデバイスである「1.27インチ4K2K D-ILAデバイス」と比較して、単位画素あたりの面積比約50%のさらなる高密度化を達成し、D-ILAが備える「画素構造の目立たない高品位表示」や「高い光利用率」「高コントラスト」などの特徴を引き継ぎながら、世界最高※1の約3500万画素による動画表示を実現しました。
当社は1996年よりハイビジョン解像度を超える超高解像度映像システムの開発に着手し、2003年夏に786万画素(水平3840×垂直2048)の「初期4K2K D-ILAデバイス」を開発、2001年3月より研究目的のユーザーに本デバイスを搭載したプロジェクターの供給を開始しました。
2007年6月には画素ピッチ6.8μm、水平4096×垂直2400ドットの「1.27インチ4K2K DILAデバイス」を開発、2008年1月には、同デバイスを搭載した業務用D-ILAプロジェクター「DLA-SH4K」を商品化し、市場供給を開始しました。
こうした開発活動を進めながら、当社は、「デジタルシネマイニシアティブ(DCI)」の4K2Kスペックの規格化への協力や、NHKが開発した「“スーパーハイビジョン”8K4Kシステム」へ採用される(プロジェクター)など、国内外での超高解像度映像システムの研究・取り組みに貢献してきました。
近年フルHD映像が世界規模で一般家庭にも普及・浸透する一方で、HD放送を超える新しいテレビ放送規格化提案をはじめ、デジタルシネマ、プレゼンテーション、監視・制御、医療分野などで、HDを超える次世代高精細映像へのニーズの高まり、それらに相まっての各分野での取り組みが活発になっています。
今回当社が開発した「1.75インチ 8K4K D-ILAデバイス」は、これら超高精細映像のニーズに対応する世界最高解像度※1の表示デバイスであり、“スーパーハイビジョン”に代表される次世代超高精細映像技術の進展に貢献するとともに、超高精細映像のみではなく、究極の映像技術である超臨場感3D表示技術への応用展開も予定しています。
デバイス名 |
パネルサイズ |
画素(水平x垂直) |
アスペクト比 |
用途 |
1.75“ 8K4K |
1.75インチ |
8192×4320 |
17:9 |
新開発。高精細映像研究 |
1.7“ 4K2K |
1.7インチ |
4096×2160 |
17:9 |
高精細映像研究 |
1.27“ 4K2K |
1.27インチ |
4096×2400 |
16:9.4 |
既発売プロジェクター(「DLA-SH4K」)に搭載 |
0.7“ フルハイビジョン |
0.7インチ |
1920×1080 |
16:9 |
既発売プロジェクター(「DLA-HD100HD1」)に搭載 |
デバイスサイズ | 対角1.75 インチ |
画素数(水平×垂直) | 8192 × 4320 ピクセル |
画素ピッチ | 4.8 μ m |
画素間ギャップ | 0.24 μ m |
開口率 | 90%以上 |
素子コントラスト | 20,000:1 |
応答時間(tr+tf) | 4.5ms |
液晶モード | 垂直配向液晶 |
配向膜 | 光安定無機配向膜 |
当社が独自開発したプロジェクター用高性能反射型液晶デバイスの名称で、高輝度と高精細化の両立が図れるプロジェクター用反射型液晶デバイス”LCOS”(Liquid Crystal on Silicon)の代表的なモデルです。当社は1997年10月にSXGA(130万画素)タイプの開発に成功し、同年末にD-ILAプロジェクターを発売。以来、ハイエンドプロジェクター向けデバイスとして多年にわたる量産実績を積み重ね、2004年5月には世界初の家庭用フルHDフロントプロジェクションシステムを、同じく7月には、米国市場でリアプロジェクションシステムを発売するなど、着々と商品化を実現してきました。
2007年1月に発売したD-ILAフルハイビジョンホームシアタープロジェクター「DLA-HD1」は、新開発0.7インチフルハイビジョンD-ILAデバイスと新光学エンジンにより、アイリス(絞り)機構なしのネイティブコントラスト15000:1によるリアルな黒表現を実現、さらに2007年12月発売の後継機種「DLA-HD100」は業界最高※3のネイティブコントラスト30000:1を実現、グローバル市場において高く評価され、大ヒット商品になっています。
また、2008年より発売を開始した業務用D-ILAプロジェクター「DLA-SH4K」はフルハイビジョンの4倍を超える約1000万画素の解像度と10000:1の高コントラストを両立し、その圧倒的な高画質はプレゼンテーション分野などを中心に高い評価を得ています。
※3…ホームシアタープロジェクターとして。2008年5月2日現在、当社調べ。
この件に対するお問い合わせ先
日本ビクター(株) コーポレート コミュニケーション部 広報グループ 03-3289-7678