子育て

作品概要
3歳児を保育園に預け職場に向かう、もっと我が子に接していたいけどままならない働くお母さん。ごく日常の朝の一瞬の対話の中から、ビデオを通して子供の気持ちに教えられる。

「ビデオには事実を映す怖さと発見させる素晴らしさがあります」

――作品を作った現在の感想をお聞かせください
自分では娘と向き合っていると思っていたのですが、編集前のビデオ映像を見て、お恥ずかしいのですが、自分の無責任な言動に驚き、改めて親としての自分の役割を見つめ直しているところです。

――そもそも、作品を作ろうと思ったきっかけというと何だったのですか?
はじめは自分の1日の姿を撮ろうとカメラを回しました。朝起きて、朝食、娘を保育園に送り、自分も出勤〜という1日。働きながらの子育てはたいへんだけどガンバレガンバレと、自分を鼓舞するような作品ができればと思っていたんです。そのためにビデオカメラを3日間回しました。

――それなのに、親子の対話をテーマにしたのはなぜですか?
私は仕事をしているので、娘がさびしい思いをしないようにと、会話を大切にしていたつもりでした。ですが、映像で見たのは逆の対応をしている自分の姿。心に重く響いていたんでしょう。自然にこの作品になりました。

――子供と向き合えていない自分を反省したわけですね?
最後のフリップの文字は、ビデオによって気付かされた正直な自分の気持ちを表現したものなんです。

――当初からの目的とは違った作品づくりで、苦労したことは何かありますか?
基本的に娘をずーっと撮っている映像です。その中から、どこを使ったらいいのかが、難しかったところですね。シーンに盛り上がりがあるわけではありません。作品を見る人に、私と関わりを持とうとする娘のしぐさや言葉は、どのシーンが伝わるかを考えて、つないでいきました。

――では、工夫したことは、どんなことでしょうか
工夫とはちょっと違いますが、普段の娘の姿を引き出すためには、普段どおりの我が家であることが大切です。そのために、ビデオカメラをテーブルの上に置いて、ビデオが回っているのを娘に悟られないように撮影を続けたんです。私もカメラの存在を意識することなく、自然に振る舞えたわけなんですが、皮肉なことに娘だけでなく、自分の普段の姿を浮き彫りにした映像になったんです。

――入賞したことについて、周囲の人たちは何かいっていますか?
私と同じように、働きながら子育てをする同僚から電子メールをいただいたり、お祝いの言葉をかけていただきました。本当にうれしかった。撮影直後の、自分の言動の無責任さを思い知らされたビデオ映像の怖さとは違って、映像作品というもののすごさ・素晴らしさというものを今は肌身に感じています。この作品が、少しでもワーキング・マザーの皆さんのお役に立てれば、この上のない喜びです。

――次回作は何かお考えですか
娘が生まれた時からの映像がありますから、今度は親子の絆が深まるような温かい作品をつくれたらいいですね。
母「おもちゃで遊ばないで」
子「牛乳、飲みたくなったよ」
子「ママ、どうしたの。イタイイタイ?」
母「ふざけないで早く食べてよ」
子「ミーちゃんが赤ちゃんになるんだよ」
母「お座りしてよ、お座り」
子「ママ食べさせて」
母「ちょっとぜんゼん減ってないよ、早く」
母「食べてるかなー、食べてるかなー」
子「‥‥‥」
(少し可哀想になりました…。もう少し向き合ってあげたいと ただ今 反省中。)
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